011.現代語/現代文/国文法学習

【羅生門37】『大学入試予想対策問題集解答解説21/23』【芥川龍之介】

更新日:

目次

【羅生門37】『大学入試予想対策問題集解答解説21/23』【芥川龍之介】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

羅生門(芥川龍之介先生)板書/解説/語句まとめ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆全体の構成

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

四段構成

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆第一段落(或日あるひの暮方~下の段に踏みかけた。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆あらすじ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ある晩の秋の日の暮れ方。

さびれ果てた都の大通りの
南端にそびえる羅生門。
一人の若い下人がたたずんでいた。

下人は主人から暇を出され、
飢え死にするか、盗人になるか、
思案していた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆時刻

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ある日の夕暮れ。
次第に夕闇が深まる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆場面

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

羅生門の下(柱の間)。
下人が雨やみを待っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆第二段落(それから、何分かの~忘れているのである。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆あらすじ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

下人は一夜を明かそうと
門の上の楼へとはしごを登る途中で、
老婆が門の中に火をともして
かがみこんでいるのを見つけた。

下人は恐れと好奇心にかられて
老婆を見ていた。
老婆は死人の髪の毛を抜いていた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆時刻

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

それから、何分かの後。
夜。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆場面

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

楼の上へ出るはしごの途中。
下人が上の様子をうかがっている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆第三段落(そこで、下人は、~意味のことを言った。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆あらすじ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

下人は悪への憎悪にかられて
老婆をつかまえた。
下人は老婆に髪の毛をぬくわけを
たずねる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆時刻

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

夜。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆場面

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

楼の上。
下人が老婆を捕らえて、引剥をした。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆第四段落(下人は、太刀を鞘に~働きに急いでゐた。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆あらすじ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

老婆は飢え死にしない為には
仕方がないと下人に弁解をした。

下人は、その弁解を聞くと、
老婆の着物をはいで、
暗闇に行方をくらました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆時刻

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

まもなく。
黒洞々たる夜。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆場面

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

羅生門の上と下。
老婆が楼の上から下を
のぞき込んだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆第一段落板書(或日あるひの暮方~下の段に踏みかけた。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆時間

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ある日の暮れ方
昼間と夜との境界線。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆時代

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

平安時代末期。
時代の境界線。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆季節

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
晩秋。
きりぎりす(コオロギ)がいる。
火桶がほしい寒さ。(火桶の火が欲しいほど寒い)
季節の境界線。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆人物

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆一人の下人

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

☆下人とは

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

金銭で売買される奴隷。

平安時代は寺家や貴族や
武士や名主等に隷属する
家内奴隷的存在。

農耕や雑役や軍役等に駆使された。

所領田畠や家屋、家畜と同様に
譲与、売買、質入れの対象。

土地を給与されることはない。

下人のほうが所従より隷属度が強い。

下人に子が生まれると、
その子は母に付けて譲与、売買。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆下人の気持ち

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

支配されるままで、主体性がない。

   ↓「盗人になる勇気が出ない」

老婆の生死を支配した時の
気持ちの伏線になる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆下人の様子

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆にきびがある。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

若い。
十五~十八才。
子供と大人の境界線。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆四、五日前に暇を出された。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

暇を出す=使用人などをやめさせる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆京都の衰微の余波。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

衰微=おとろえ弱ること。
余波=とばしり。あおり。影響。
正しくは、「元下人」である。
サンチマンタリスム(感傷的な気分)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ロリポップ!★104種類もの面白くて可愛いドメインがたくさん♪

EGOISM.JP / VIVIAN.JP / RAINDROP.JP / ZOMBIE.JP / MODS.JP ...

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

羅生門(芥川龍之介先生)現代文大学入試予想対策問題21

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
一、次の文を読んで後の設問に答えなさい
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ある日の暮れ方のことである。
①一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
広い門の下には、この男のほかに誰もいない。

ただ、ところどころ丹塗りのはげた、大きな円柱に、②きりぎりすが一匹とまっている
羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、
雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、③もう二、三人はありそうなものである。

それが、この男のほかには誰もいない。
④なぜかと言うと、この二、三年、京都には、地震とか、
辻風とか火事とか飢饉とか言う災いが続いて起こった。

そこで洛中のさびれ方はひととおりではない。

旧記によると、仏像や仏具を打ち砕いて、⑤その丹が付いたり、
金銀の箔が付いたりした木を、道端に積み重ねて、
薪の料に売っていたということである。

洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、
もとより⑥誰も捨てて顧みる者がなかった
すると⑦その荒れ果てたのをよいことにして、ア狐狸がすむ。イ盗人がすむ。

とうとうしまいには、引き取り手のない死人を、
この門へ持って来て、捨てていくという⑧習慣さえできた。

そこで、日の目が見えなくなると、
誰でも気味を悪るがって、
⑨この門の近所へは足踏みをしないことになってしまったのである。

⑩その代わりまた、鴉がどこからか、たくさん集まってきた。

昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、
高いウ鴟尾の周りを鳴きながら、飛び回っている。

殊に門の上の空が、夕焼けで赤くなるときには、
それがごまをまいたように、はっきり見えた。

鴉は、もちろん、門の上にある死人の肉を、ついばみに来るのである。
ーもっとも今日は、エ刻限が遅いせいか、一羽も見えない。

ただ、所々、崩れかかった、
そうしてその崩れ目に長い草の生えた石段の上に、
鴉の糞が、点々と白くこびりついているのが見える。

下人は七段ある石段のいちばん上の段に、
洗いざらした紺のオ襖の尻をaスえて、右のほおにできた、
大きなにきびを気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。

作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。
しかし、下人は雨がやんでも、bカクベツどうしようという当てはない。
ふだんなら、もちろん、主人の家へ帰るべきはずである。

ところがその主人からは、四、五日前に暇を出された。
前にも書いたように、当時京都の町は一通りならずcスイビしていた。

今この下人が、永年、使われていた主人から、
暇を出されたのも、実はこのスイビの小さなdヨハにほかならない。

だから、「下人が雨やみを待っていた」と言うよりも、
「雨に降り込められた下人が、行き所がなくて、
途方に暮れていた」と言うほうが、適当である。

その上、今日の空模様も少なからず、
この平安朝の下人の⑪Sentimentalismeに影響した。
申の刻下がりから降りだした雨は、いまだに上がる気色がない。

そこで、下人は、
何をおいても差し当たり明日の暮らしをどうにかしようとして
ーいわばどうにもならないことを、どうにかしようとして、
取り留めもない考えをたどりながら、
さっきから朱雀大路に降る雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問1 傍線部a~dのカタカナを漢字に直しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

a「                   」
b「                   」
c「                   」
d「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問2「①一人の下人」とあるが、この下人の年齢をうかがわせる部分を
  「その代わり」で始まる段落の中から探し、六文字で抜き出しなさい。。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問3「②きりぎりすが一匹とまっている」とあるが、
  この描写はどんな効果を持っているかを選択肢から選んで答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア この下人にはもう頼るものが一人もいないことを象徴している。
イ 虫の存在を強調して、新たな人物の登場を暗示している。
ウ 荒廃した、人っ子一人いない羅生門の寂しさを強調している。
エ もうすぐ雨がやむということを暗示している。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問4 何が「③もう二、三人はありそうなもの」なのか。
   本文から十四文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問5「④なぜかと言うと」は何の理由を説明しようとしているのか。
   本文から十三文字で抜き出しない
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問6「⑤その丹」とは何の丹か。
   本文から五文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問7「⑥誰も捨てて顧みる者がなかった」存在とは何か。
   本文から六文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問8「⑦その荒れ果てた」とは何を指しているか。
   本文から三文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問9「⑧習慣」とはどんな習慣か。
   本文から最初と最後の三文字を抜き出して答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最初「                   」
最後「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問10「⑨この門の近所へは足踏みをしない」のはいつか。
    本文から十文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問11「⑩その代わり」とは何の「代わり」か。
   本文から最初と最後の三文字を抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最初「                   」
最後「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問12「⑩その代わり」をしているものは何か。
    本文から最初と最後の三文字を抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最初「                   」
最後「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問13「⑩その代わり」で始まる段落から直喩表現を抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問14「⑪Sentimentalisme」はフランス語である。
   作者はなぜ平安朝を舞台とする作品の中にこの言葉を入れたのか、
   その理由として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア 日本の話のようであるが、実は海外の作品を下敷きにしていることを示している。
イ主人公の心理を現代的に解釈しようとする作者の考えが反映している。
ウ 当時の日本人の西洋化を憂える作者の姿勢が反映している。  
エ 海外文学に傾倒した作者が、外国語の便利さを強調しようとしている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問15 傍線部ア~エの漢字の読み仮名を書きなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア「                   」
イ「                   」
ウ「                   」
エ「                   」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

羅生門(芥川龍之介先生)現代文大学入試予想対策問題/解答/解説21

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
一、次の文を読んで後の設問に答えなさい
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ある日の暮れ方のことである。
①一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
広い門の下には、この男のほかに誰もいない。

ただ、ところどころ丹塗りのはげた、大きな円柱に、②きりぎりすが一匹とまっている
羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、
雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、③もう二、三人はありそうなものである。

それが、この男のほかには誰もいない。
④なぜかと言うと、この二、三年、京都には、地震とか、
辻風とか火事とか飢饉とか言う災いが続いて起こった。

そこで洛中のさびれ方はひととおりではない。

旧記によると、仏像や仏具を打ち砕いて、⑤その丹が付いたり、
金銀の箔が付いたりした木を、道端に積み重ねて、
薪の料に売っていたということである。

洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、
もとより⑥誰も捨てて顧みる者がなかった
すると⑦その荒れ果てたのをよいことにして、ア狐狸がすむ。イ盗人がすむ。

とうとうしまいには、引き取り手のない死人を、
この門へ持って来て、捨てていくという⑧習慣さえできた。

そこで、日の目が見えなくなると、
誰でも気味を悪るがって、
⑨この門の近所へは足踏みをしないことになってしまったのである。

⑩その代わりまた、鴉がどこからか、たくさん集まってきた。

昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、
高いウ鴟尾の周りを鳴きながら、飛び回っている。

殊に門の上の空が、夕焼けで赤くなるときには、
それがごまをまいたように、はっきり見えた。

鴉は、もちろん、門の上にある死人の肉を、ついばみに来るのである。
ーもっとも今日は、エ刻限が遅いせいか、一羽も見えない。

ただ、所々、崩れかかった、
そうしてその崩れ目に長い草の生えた石段の上に、
鴉の糞が、点々と白くこびりついているのが見える。

下人は七段ある石段のいちばん上の段に、
洗いざらした紺のオ襖の尻をaスえて、右のほおにできた、
大きなにきびを気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。

作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。
しかし、下人は雨がやんでも、bカクベツどうしようという当てはない。
ふだんなら、もちろん、主人の家へ帰るべきはずである。

ところがその主人からは、四、五日前に暇を出された。
前にも書いたように、当時京都の町は一通りならずcスイビしていた。

今この下人が、永年、使われていた主人から、
暇を出されたのも、実はこのスイビの小さなdヨハにほかならない。

だから、「下人が雨やみを待っていた」と言うよりも、
「雨に降り込められた下人が、行き所がなくて、
途方に暮れていた」と言うほうが、適当である。

その上、今日の空模様も少なからず、
この平安朝の下人の⑪Sentimentalismeに影響した。
申の刻下がりから降りだした雨は、いまだに上がる気色がない。

そこで、下人は、
何をおいても差し当たり明日の暮らしをどうにかしようとして
ーいわばどうにもならないことを、どうにかしようとして、
取り留めもない考えをたどりながら、
さっきから朱雀大路に降る雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問1 傍線部a~dのカタカナを漢字に直しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

a「据えて」
b「格別」
c「衰微」
d「余波」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問2「①一人の下人」とあるが、この下人の年齢をうかがわせる部分を
  「その代わり」で始まる段落の中から探し、六文字で抜き出しなさい。。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「大きなにきび」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問2解説
にきびができるのは下人の若さを表している。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問3「②きりぎりすが一匹とまっている」とあるが、
  この描写はどんな効果を持っているかを選択肢から選んで答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア この下人にはもう頼るものが一人もいないことを象徴している。
イ 虫の存在を強調して、新たな人物の登場を暗示している。
「ウ」 荒廃した、人っ子一人いない羅生門の寂しさを強調している。
エ もうすぐ雨がやむということを暗示している。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問4 何が「③もう二、三人はありそうなもの」なのか。
   本文から十四文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「雨やみをする市女笠や揉烏帽子」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問5「④なぜかと言うと」は何の理由を説明しようとしているのか。
   本文から十三文字で抜き出しない
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「この男のほかには誰もいない」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問6「⑤その丹」とは何の丹か。
   本文から五文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「仏像や仏具」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問7「⑥誰も捨てて顧みる者がなかった」存在とは何か。
   本文から六文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「羅生門の修理」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問8「⑦その荒れ果てた」とは何を指しているか。
   本文から三文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「羅生門」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問9「⑧習慣」とはどんな習慣か。
   本文から最初と最後の三文字を抜き出して答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最初「引き取」
最後「ていく」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問9解説
引き取り手のない死人を、この門へ持って来て、捨てていく

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問10「⑨この門の近所へは足踏みをしない」のはいつか。
    本文から十文字で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「日の目が見えなくなる」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問11「⑩その代わり」とは何の「代わり」か。
   本文から最初と最後の三文字を抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最初「日の目」
最後「しない」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問11解説
日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪がって、この門の近所へは足踏みをしない

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問12「⑩その代わり」をしているものは何か。
    本文から最初と最後の三文字を抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最初「鴉がど」
最後「てきた」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問12解説
鴉がどこからか、たくさん集まってきた

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問13「⑩その代わり」で始まる段落から直喩表現を抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「ごまをまいたように」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問13解説
直喩(直喩)とは「~ように」を用いた比喩(ひゆ)のこと

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問14「⑪Sentimentalisme」はフランス語である。
   作者はなぜ平安朝を舞台とする作品の中にこの言葉を入れたのか、
   その理由として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア 日本の話のようであるが、実は海外の作品を下敷きにしていることを示している。
「イ」主人公の心理を現代的に解釈しようとする作者の考えが反映している。
ウ 当時の日本人の西洋化を憂える作者の姿勢が反映している。  
エ 海外文学に傾倒した作者が、外国語の便利さを強調しようとしている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問15 傍線部ア~エの漢字の読み仮名を書きなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア「こり」
イ「ぬすびと」
ウ「しび」
エ「こくげん」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

羅生門(芥川龍之介先生)現代文大学入試予想対策問題23

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
一、次の文を読んで後の設問に答えなさい
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

①作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた。」と書いた。
しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようという当てはない。
ふだんなら、もちろん、主人の家へ帰るべきはずである。

ところがその主人からは、四、五日前に暇を出された。
前にも書いたように、当時京都の町はひととおりならず衰微していた。

今この下人が、永年、使われていた主人から、
②暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかならない。

だから「下人が雨やみを待っていた。」と言うよりも
「雨に降りこめられた下人が、行き所がなくて、途方に暮れていた。」と
言うほうが、適当である。

そのうえ、今日の空模様も少なからず、
この③平安朝の下人のSentimentalismeに影響した。

④申の刻下がりから降り出した雨は、いまだに上がる気色がない。

そこで、下人は、
何をおいてもさしあたり明日の暮らしをどうにかしようとして
――いわばどうにもならないことを、どうにかしようとして、
とりとめもない考えをたどりながら、
さっきから朱雀大路に降る雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。

雨は、羅生門を包んで、
遠くから、ざあっという音を集めてくる。

夕闇はしだいに空を低くして、見上げると、
門の屋根が、斜めに突き出した甍の先に、
重たく薄暗い雲を支えている。

⑤どうにもならないことを、
どうにかするためには、手段を選んでいるいとまはない。

選んでいれば、築土の下か、道端の土の上で、飢え死にをするばかりである。
そうして、この門の上へ持ってきて、
⑥犬のように捨てられてしまうばかりである。

選ばないとすれば――下人の考えは、
何度も同じ道を ⑦低回したあげくに、やっとこの局所へ逢着した。

しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。
下人は、手段を選ばないということを肯定しながらも、
この「すれば」のかたをつけるために、
当然、そのあとに来るべき「( A )。」ということを、
積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。

下人は、大きなくさめをして、それから、大儀そうに立ち上がった。

夕冷えのする京都は、もう火桶が欲しいほどの寒さである。
風は門の柱と柱との間を、夕闇とともに遠慮なく、吹き抜ける。
⑧丹塗りの柱にとまっていたきりぎりすも、もうどこかへ行ってしまった。

下人は、首を縮めながら、山吹の汗衫に重ねた、
紺の晧の肩を高くして、門の周りを見回した。

雨風の憂えのない、人目にかかる恐れのない、
一晩楽に寝られそうな所があれば、そこでともかくも、
夜を明かそうと思ったからである。

すると、幸い門の上の楼へ上る、
幅の広い、これも丹を塗ったはしごが目についた。
⑨上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。

下人はそこで、
腰にさげた聖柄の太刀が盖走らないように気をつけながら、
わら草履をはいた足を、そのはしごのいちばん下の段へ踏みかけた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問1「①作者」の名前を答えなさい
   また、「①作者」が文学史上何派と呼ばれているかを漢字で記しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

作家名「               」
派名「                」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問2「②暇を出された」のはいつか。
本文から五文字(句読点含む)で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「               」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問3「③平安朝の下人のSentimentalisme」という表現について、
   次の選択肢から正しいものを二つ選びなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア フランス語がそのまま使われる事で、
  下人の心情が読者にとって訳のわからない謎として示された
イ フランス語がそのまま使われる事で、
  平安朝の下人が、現代人の心情を持つ人物のようにして説明された。
ウ フランス語がそのまま使われる事で、
  微妙に揺れ動く下人の心情が写実的に生々しく表現された
エ フランス語がそのまま使われる事で、
  「作者」を自称する語り手のある種の教養と趣味が強調された
オ フランス語がそのまま使われる事で、
  空模様と下人の心情との関係が論理的に強調された

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問4 「④申の刻下がり」とはいつのことか記入しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「               」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問5「⑤どうにもならないこと」とは何か。
   本文中から5文字以上10文字以内で抜き出して答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「               」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問6「⑤どうにもならないこと」となった理由を
  本文中から本文中から5文字以上10文字以内で抜き出して答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「               」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問7「⑥犬のように捨てられてしまう」で使われている
   修辞法を答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「               」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問8「⑦低回」の意味を次から選びなさい。。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア 行ったりきたりしてためらう様子
イ 低俗な興味を持ち続ける様子
ウ 考えが深まっていない様子
エ 出た結論を再検討している様子

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問9 空欄Aに入るのは次のどの一文が適当か。
   選択肢から選んで○をつけなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア 盗人にならなくてよい
イ 盗人になる必要がある
ウ 盗人にならないほうがよい
エ 盗人になるほかにしかたがない

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問10「⑧丹塗りの柱に……行ってしまった。」は、どのようなことを表しているか。
    選択肢から選んで○をつけなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア きりぎりすのような小さな虫でも耐えられないくらい寒いこと
イ 下人がここに来てからずいぶん時間が経過していること
ウ 下人もどこかに行ってしまうこと
エ 下人がすべてのものから見放されていること

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問11「⑨上なら……死人ばかりである。」の部分に表れている下人の心情を、
   40字以内で説明しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


                                 」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

羅生門(芥川龍之介先生)大学入試予想対策問題/解答/解説23

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
一、次の文を読んで後の設問に答えなさい
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

①作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた。」と書いた。
しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようという当てはない。
ふだんなら、もちろん、主人の家へ帰るべきはずである。

ところがその主人からは、四、五日前に暇を出された。
前にも書いたように、当時京都の町はひととおりならず衰微していた。

今この下人が、永年、使われていた主人から、
②暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかならない。

だから「下人が雨やみを待っていた。」と言うよりも
「雨に降りこめられた下人が、行き所がなくて、途方に暮れていた。」と
言うほうが、適当である。

そのうえ、今日の空模様も少なからず、
この③平安朝の下人のSentimentalismeに影響した。

④申の刻下がりから降り出した雨は、いまだに上がる気色がない。

そこで、下人は、
何をおいてもさしあたり明日の暮らしをどうにかしようとして
――いわばどうにもならないことを、どうにかしようとして、
とりとめもない考えをたどりながら、
さっきから朱雀大路に降る雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。

雨は、羅生門を包んで、
遠くから、ざあっという音を集めてくる。

夕闇はしだいに空を低くして、見上げると、
門の屋根が、斜めに突き出した甍の先に、
重たく薄暗い雲を支えている。

⑤どうにもならないことを、
どうにかするためには、手段を選んでいるいとまはない。

選んでいれば、築土の下か、道端の土の上で、飢え死にをするばかりである。
そうして、この門の上へ持ってきて、
⑥犬のように捨てられてしまうばかりである。

選ばないとすれば――下人の考えは、
何度も同じ道を ⑦低回したあげくに、やっとこの局所へ逢着した。

しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。
下人は、手段を選ばないということを肯定しながらも、
この「すれば」のかたをつけるために、
当然、そのあとに来るべき「( A )。」ということを、
積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。

下人は、大きなくさめをして、それから、大儀そうに立ち上がった。

夕冷えのする京都は、もう火桶が欲しいほどの寒さである。
風は門の柱と柱との間を、夕闇とともに遠慮なく、吹き抜ける。
⑧丹塗りの柱にとまっていたきりぎりすも、もうどこかへ行ってしまった。

下人は、首を縮めながら、山吹の汗衫に重ねた、
紺の晧の肩を高くして、門の周りを見回した。

雨風の憂えのない、人目にかかる恐れのない、
一晩楽に寝られそうな所があれば、そこでともかくも、
夜を明かそうと思ったからである。

すると、幸い門の上の楼へ上る、
幅の広い、これも丹を塗ったはしごが目についた。
⑨上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。

下人はそこで、
腰にさげた聖柄の太刀が盖走らないように気をつけながら、
わら草履をはいた足を、そのはしごのいちばん下の段へ踏みかけた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問1「①作者」の名前を答えなさい
   また、「①作者」が文学史上何派と呼ばれているかを漢字で記しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

作家名「芥川龍之介」
派名「新思潮派(理知派)」 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問1解説
「羅生門』は作者が東大学中に発表。
次いで第四次『新思潮』に「鼻』を発表、
夏目漱石から「敬服しました」(手紙)と激賞されたことは有名である

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問2「②暇を出された」のはいつか。
本文から五文字(句読点含む)で抜き出しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「四、五日前」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問3「③平安朝の下人のSentimentalisme」という表現について、
   次の選択肢から正しいものを二つ選びなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア フランス語がそのまま使われる事で、
  下人の心情が読者にとって訳のわからない謎として示された
「イ」 フランス語がそのまま使われる事で、
    平安朝の下人が、現代人の心情を持つ人物のようにして説明された。
ウ フランス語がそのまま使われる事で、
  微妙に揺れ動く下人の心情が写実的に生々しく表現された
「エ」 フランス語がそのまま使われる事で、
   「作者」を自称する語り手のある種の教養と趣味が強調された
オ フランス語がそのまま使われる事で、
  空模様と下人の心情との関係が論理的に強調された

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問3解説
フランス語で表記されていることと、
直前の平安朝の「下人」の内面と、
読者の受け取る印象を表現している

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問4 「④申の刻下がり」とはいつのことか記入しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「午後4時過ぎ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問4解説
「申の刻下がり(さるのこくさがり)」の
「下がり」とは、一定の時刻を少し過ぎること、
 またはその過ぎた時刻をいう。
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問5「⑤どうにもならないこと」とは何か。
   本文中から5文字以上10文字以内で抜き出して答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「明日の暮らし」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問5解説
下人は、何をおいてもさしあたり
明日の暮らしをどうにかしようとして
――いわばどうにもならないことを・・・を参考に考える。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問6「⑤どうにもならないこと」となった理由を
  本文中から本文中から5文字以上10文字以内で抜き出して答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「暇を出された」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問7「⑥犬のように捨てられてしまう」で使われている
   修辞法を答えなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「直喩」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆問7解説
直喩(直喩)とは「~ように」を用いた比喩(ひゆ)のこと。
比喩のうち、喩えであることを明示する「~のようだ」のような
形式を用いないものを暗喩(あんゆ)または隠喩(いんゆ)という。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問8「⑦低回」の意味を次から選びなさい。。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「ア」 行ったりきたりしてためらう様子
イ 低俗な興味を持ち続ける様子
ウ 考えが深まっていない様子
エ 出た結論を再検討している様子

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問9 空欄Aに入るのは次のどの一文が適当か。
   選択肢から選んで○をつけなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア 盗人にならなくてよい
イ 盗人になる必要がある
ウ 盗人にならないほうがよい
「エ」 盗人になるほかにしかたがない

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問10「⑧丹塗りの柱に……行ってしまった。」は、どのようなことを表しているか。
    選択肢から選んで○をつけなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ア きりぎりすのような小さな虫でも耐えられないくらい寒いこと
「イ」 下人がここに来てからずいぶん時間が経過していること
ウ 下人もどこかに行ってしまうこと
エ 下人がすべてのものから見放されていること

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問11「⑨上なら……死人ばかりである。」の部分に表れている下人の心情を、
   40字以内で説明しなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「生きた人間などいるはずもなく、
 襲われる心配などないと安心しきった気持ち。」(三十六文字) 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
寝る前5分暗記ブック 中3 高校入試 改訂版-英語・数学・理科・社会・国語 単行本 –
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ムームードメイン

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
スタディサプリ高校講座 【古文】90秒でわかる!特別講義 岡本講師
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

↓【授業動画で成績アップ!】『スタディサプリ高校・大学 受験講座』はコチラから↓

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
↓     ↓     ↓     ↓     ↓
受験生の2人に1人が利用する圧倒的なわかりやすさ!まずは無料でお試し。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆現代語/現代文/国文法学習次回の記事です☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【羅生門37】『大学入試予想対策問題集解答解説25ー27』【芥川龍之介】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆現代語/現代文/国文法学習前回の記事です☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【羅生門36】『高校入試予想対策問題集解答解説12/14/17』【芥川龍之介】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆古文漢文現代文学習ブログです☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【古文のルール】『歴史的仮名遣い(古典仮名遣い)1』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆オンライン学習ブログの記事です☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【Cucua(ククア)の口コミと評判まとめ】『入学金無料』【先着300人限定】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆買取特集ブログのオススメ記事です☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【着物買取に使える】『バイセル』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

-011.現代語/現代文/国文法学習

Copyright© 空になりたい , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.