プロ生主になる方法。古典小説アレンジ小説朗読編

プロ生主になる方法。古典小説アレンジ小説朗読編2。源氏物語(紫式部先生)。若紫本文(原文)&口語訳&現代語訳。ニコニコ生放送朗読用テキスト

投稿日:2017年11月7日 更新日:

プロ生主になる方法。古典小説アレンジ小説朗読編2。源氏物語(紫式部先生)。若紫本文(原文)&口語訳&現代語訳。ニコニコ生放送朗読用テキスト


 
いつもお世話になっております!
プロ小説家、プロゲームシナリオライター、プロライターのQBでございます。
プロ作家、プロ詩人、プロ占い師、プロ作詞家、プロ生主のQBでもあります。

プロシナリオライター、プロブロガーのQBでもあるのです。
他の記事では色々なテーマの記事を描いております。

今回は古典小説アレンジ小説の書き方を描いていきます。
前回も古典小説アレンジ小説の書き方を描きました。

プロ生主になる方法。古典小説アレンジ小説朗読編1。枕草子(清少納言先生)。雪のいと高う降りたるを本文(原文)&口語訳&現代語訳。ニコニコ生放送朗読用テキスト


 


 

プロ生主になる方法。古典朗読編シリーズについて


 
このシリーズは古典朗読用に特化して制作いたしました。
古典文学を実際に声に出して読んで頂きたいという願いを込めて描いています。
ニコニコ生放送の生主(ニコ生主)である私が実際に放送で朗読した作品を厳選致しました。

プロ占い師になる方法 タロットカード占い相談実占集編1 超能力女装男子高校生ニコ生主(ニコニコ生放送生主)朱雀の恋愛事情

他のシリーズには様々なプロになる方法を描いております。
プロ小説家・プロゲームシナリオライター・プロ詩人になる方法を描いています。
また、プロ詩人、プロライター、プロブロガーになる方法も描いています。

プロ生主になる方法。古典小説アレンジ小説関西弁朗読編1。枕草子(清少納言先生)。春はあけぼの。本文(原文)&口語訳&関西弁(現代語訳)。ニコニコ生放送朗読用テキスト

プロ作家・プロ占い師・プロシナリオライターになる方法を描いています。
こちらのシリーズも併せて御一読下さいませ。

プロ生主になる方法。小説・シナリオ・声劇台本朗読編1。シナリオ「踊り場」。ニコニコ生放送朗読用テキスト。作者QB


 





 

源氏物語(紫式部先生)。若紫本文(原文)&読み方(現代仮名遣い)&意味(現代語訳)


 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

☆源氏物語(紫式部先生)。若紫☆作品概要☆

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

作者 紫式部(むらさきしきぶ)
作品名 若紫(わかむらさき)
収録本 源氏物語(げんじものがたり)
時代 平安時代
ジャンル 小説

☆口語訳
現代の言葉で読めるようにした文のこと

☆現代語訳
現代の人に意味がわかるように訳した文のこと

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

☆次のような順番で表記致します。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

本文
口語訳(読み方)

現代語訳(意味)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

源氏物語(げんじものがたり)☆若紫(わかむらさき)☆紫式部(むらさきしきぶ)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

☆若紫(わかむらさき)プロローグ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

光源氏は
ずっと藤壺の更衣に恋心を持っていた。

光源氏が
藤壺の更衣に恋をしたのは
母である桐壷の更衣に大変よく似ていたからだ。

光源氏は幼い頃に
母である桐壷の更衣を亡くしていた。

だから、
光源氏は藤壺の更衣に
母の面影を重ね合わせてしまっていたのだ。

しかし、
光源氏と藤壺の更衣との恋は叶わなかった。

光源氏は
藤壺の更衣への思いを消し去るかのように
色々な女性と恋愛を重ねていく。

だが、
光源氏は夕顔の死を境に病気になってしまう。

その病気を治す為に訪れた寺で
光源氏は藤壺の更衣によく似た若紫に巡り会ったのだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

☆源氏物語(げんじものがたり)☆紫式部(むらさきしきぶ)☆若紫(わかむらさき)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 

 
やあ。

オレは光源氏。
桐壺帝の第二皇子だ。

オレの母は桐壺更衣(きりつぼのこうい)。
オレは平安時代に京都に生まれた。
現在は公卿(くぎょう)をしている。

平成時代でいう
中央省庁のキャリア官僚だ。

皇子で美男子で
中央省庁の最高幹部。
オレに墜ちない女はいない。

それが、オレ様。
光源氏だ。、

あれは、ある夕暮れ時のことだった。
 

 
日もいと長きに、つれづれなれば、 
ひも いと ながき に、つれずれ なれば、

病気なんかしてると
一日が一日がとても長く感じてしまう。

だから、
オレはどう暇つぶしをしようかなーと
考えていたんだ。
 
夕暮れのいたう霞(かすみ)たるにまぎれて、
ゆうぐれの いとう かすみたる に まぎれて、

「もう、こんな時間か・・・・・・」

「流石に夕暮れ時ともなると、この辺りも暗くなるな」

オレは暗闇に紛れて外に出る。
オレの後を追って部下達も外へ出て来る。

「お、おい。光源氏様が外出だ」

「ばれないように後を追え!」

「ばれないように・・・・・・って、
 そんなにデカい声じゃバレバレだっつーの」

オレは
後をつけてくる過保護な部下達を
少々ウザいなーなんて思いながら、
都の郊外まで歩いて行った。

かの小柴垣(こしばがき)のもとに立ち出(い)でたまふ。
かの こしばがき の もとに たちいで たもう。

ここら辺は、
役所もなく民家もまばらな地域だ。

都の喧噪から離れて
のんびりと過ごすにはちょうどいい。

平成時代でいう郊外みたいな場所だ。

「ここら辺でいいかな?」

オレはある民家の前に立ち止まった。
 
 
人々は帰したまひて、
ひとびと わ かえし たまいて、

「おい? オメーら、もうここら辺でいいぞ」

オレは
物陰から顔を出して様子を伺っている
部下に声をかける。

「ひ、光源氏様・・・・・・っ!」

「お気づきになっておられたのですか」

部下達は
驚いたようにオレの顔を見つめる。

だから、
オレは呆れたような口調で
告げてやる。

「お気づきになっても何も・・・・・・
 そんな尾行の仕方じゃあ子供も騙せないぞ。
 なぁ? 惟光」

「はい。源氏様」

藤原惟光が
部下達の後ろから声を放つ。

「こ、惟光様!」

「い、いつからそこにおられたのですか!!」

部下達は
自分たちの後ろにいた惟光を見て
大声をあげた。

しかし、
惟光は落ち着き払った声で
部下達を一瞥する。

「いつから・・・・・・って、
 お前達が源氏様の後を付けだした時からずっとだよ」

「さすがは惟光。
本職の隠密は違うねぇ」

オレは
笑みを浮かべて
部下達に告げる。

「惟光が側にいるから大丈夫だ。
 お前ら心配せずに父上(桐壺帝)の元に戻れ」

「わ、わかりました」

「それでは。惟光様。
 後はよろしくお願い致します」

「はいはい。リョーカイ」

惟光は
部下達に向かって手を振った。

そして、
惟光は部下達の後ろ姿を見ながら
オレに声をかけてきた。

「ところで。源氏様?
 今日のお目当ての方はこちらの家にお住まいですかな?」

「ははっ! 
 流石は惟光。相変わらず鋭いな」

「今回は
 あまり無茶なコトはされませぬよう・・・・・・」

「これこれ惟光。手厳しいぞ」

オレは
惟光をたしなめるように言った。

すると、
惟光は軽く咳払いしてから
オレに告げてきた。

「私は源氏様のお目付役も兼ねておりますので」

「お手柔らかに頼むぜ。お目付役さん」

「はて? 
源氏様がお目つけになった方は
 どのような方ですかな?」

惟光(これみつ)の朝臣(あそん)とのぞきたまへば、
これみつの あそん と のぞきたまえば、

惟光は
小柴垣(こしばがき)の中を
そっとのぞき込んだ。

オレも
惟光に後(おく)れをとるまいと
小柴垣(こしばがき)の中をのぞき込む。、 

ただこの西面(にしおもて)にしも、
ただ この にしおもて に しも、

「はて? 源氏様好みの女性はいずこへ・・・・・・」

「惟光。目の前の部屋があるだろう?」

「この西向きの部屋ですかな・・・・・・ほうほう」

持仏(ぢぶつ)すゑたてまつりて行ふ尼なりけり。
じぶつ すえたてまつりて おこなう あま なりけり。

「こちらに妙齢の女性が一人。ほう? 尼さんですな」

惟光は
仏壇に向かって手を合わせる尼さんに
目をやった。
 

 
簾(すだれ)少し上げて、花奉るめり。
すだれ すこし あげて、はな たてまつるめり。

「はて? 
 源氏様はもっとお若い女性ばかりに
 お手をつけられていたはずですが?」

「これこれ惟光。声が大きいぞ」

「源氏様。守備範囲を広げられましたかな?」

「うるさいぞ。惟光」

「源氏様とあの女性とでは
 母親と子供くらいの年の差が・・・・・・」

惟光は
ニヤリと笑みを浮かべて
言葉を続ける。

「ほう? 
 源氏様。あの尼さんに母上の面影を重ねられましたな?」

「惟光。今日のお前は口が過ぎるぞ」

オレ達の
こんな会話をよそに、
尼さんは仏壇の世話を続けていく。

尼さんは
簾(すだれ)を少し上げて、
仏壇に花をお供えする。

中の柱に寄りゐて、
なかの はしら に よりいて、

尼さんは
中央の柱に寄りかかって
悩ましげに座る。

「ほうほう。
 若い女性にはない色香がありますな。源氏様」

「ま、まあな」

脇息(けふそく)の上に経を置きて、
きょうそくの うえ に きょう を おきて、

尼さんはひじかけの上にお経の本を置く。

「ほう? 
 このポーズは知性にあふれてますな」

「だろ? 惟光。」
 

 
いとなやましげに読みゐたる尼君、
いと なやましげに よみいたる あまぎみ、

尼さんはとても苦しげにお経を読む。

「ふーむ。
 なにか悶えているような表情ですな」

「う、うむ」

「この色香に
 源氏様もメロメロになったわけですな」

「う、うーむ」

「熟女好きめ」

「惟光。一言多いぞ!」

ただ人と見えず。
ただ ひとと みえず。

尼さんは
若い女にはない色気と庶民にはない上品さを
併せ持っていた。

惟光は
腕組みをしながら
感心したように口を開く。

「ふむ。
 知性と色気を持つ大人の女性といった感じですな」

「ま、まあな――」
 

 
四十余(よそぢあまり)ばかりにて、
よそじ あまり ばかりにて、

「あの尼さんは
四十歳過ぎくらいに見えますな」

「ま、まあその位だろうな」

「源氏様の母上と同じくらいの年齢ですな」

「そ、そうか?」

「源氏様のマザコン」

「惟光!」

いと白うあてに、
いと しろう あてに、

「それに雪のように白い肌をお持ちですな。源氏様」

「ま、まあ・・・・・・ 肌はきれいかな?」

「きれいなのは肌だけではない・・・・・・と
 お思いでしょう、源氏様?」

「惟光。
 いつからオレの心がわかるように・・・・・・いや、何でもない」

やせたれど、つらつきふくらかに、
やせたれど、つらつき ふくらかに、

「それに、スレンダーであるけれど、
 観音様のように柔らかな顔立ちをされていますな。源氏様」

「うむ」

「典型的な日本美人ですな」、

「ひょっとして? 惟光。惚れちゃった?」

「滅相もない。
 源氏様の狙っている女性ですから」

「惟光・・・・・・。めっ!」
 

 
まみのほど、髪のうつくしげにそがれたる末も、
まみのほど、かみの うつくしげ に そがれたる すえも、

「ふーむ。
顔立ちばかりでなく髪もキレイですな。源氏様」

「だろ? 惟光」

「オシャレな髪型ですな。
 目元の髪だけでなく、肩の辺りに伸びた髪まで、
 キレイに切りそろえられていますなあ」

「なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかな」と、
「なかなか ながきより も こよのう いま めかしき ものかな」と、 

「どう? 惟光? 
 いわゆるシャギーカットじゃーん。
 ただ長いだけの髪よりも、
 あんな髪の方が現代風でオシャレじゃーん」

「源氏様。キモいです」

「うっせーな。
 今が平安時代だから、
 しゃべりだけでも平成風にしよーとしたンだよ」

「それにしても尼さんはお美しいですなあ」

「ケッ、華麗にスルーかよ」

あはれに見たまふ。
あわれ に みたもう。 

「でも、あの人マジでキレーだよな」

オレは
トリコ(虜)になったみたいに
尼さんを見つめた。
 

 
清げなるおとな二人ばかり、
きよげなる おとな ふたりばかり、 

「源氏様。尼さんに夢中ですな」

「ウッセーな。惟光。
 今、いい所だから邪魔すンじゃねーよ」

「源氏様は他の女性は目に入らないと見えますな」

「アン?」

「ほれ、
あちらにも清楚な女性がおられますぞ?」

「え? あぁ・・・・・・
 女房(貴族に仕える召使いの女性)だな」

「尼さんと同じ年格好の女性が二人も・・・・・・
 年上に目覚めた源氏様には
 たまらないシチュエーションですな」

「ま、まあな・・・・・・って、惟光。言葉が過ぎるぞ」

さては童部(わらはべ)ぞ出で入り遊ぶ。
さてわ わらわべぞ いでいり あそぶ。  

「過ぎておるのは私の言葉だけですかな? 源氏様」

「なに? 惟光。それは一体どういう――」

「源氏様は尼さんに夢中で、
 あそにいる若い女性達など目に入らぬご様子」

惟光の視線の先には少女達の姿があった。

少女達は、
この家に遊びに来ているのだ。

「あの年頃の少女達は
源氏様の大好物だったはずでは?」

惟光はオレをからかうように笑う

「源氏様? 
あちらの女性などは源氏様のモロ好みの
 女性ではありませんかな?」

「え?」

オレは惟光が指差した女の子に視線を投げた。
 

 
中に、十ばかりにやあらむと見えて、
なかに、とう ばかり にや あらんと みえて、  

「どうです? 源氏様。
 歳は十歳といったところでしょうか?」

「まあ・・・・・・そのくらいかな?」

白き衣(きぬ)、山吹(やまぶき)などのなえたる着て、
しろききぬ、やまぶき などの なえたる きて、  

「ほれ、源氏様。ご注目」

「ん? 何だ。惟光」

「あの子の山吹がさねの上着から、
 源氏様好みの清楚な白い下着がチラチラと」

「ほうほう・・・・・・って。
 惟光! お前は私を痴漢にでもするつもりか」

「ははは。
 指名手配のイケメン皇子様なんて
 素敵じゃないですか。源氏様」

「惟光。口が過ぎるぞ」

「そろそろ源氏様も
 捕まってみてはどうですかな? 一人の女性に」

「い、いや。オレはまだ――」

「まだもなにも――
 ほれ? 源氏様が心の準備をされる前に走って来られましたぞ」

走り来たる女子(をんなご)、
はしりきたる おんなご、 

女の子が
オレに向かって走ってきた。

オレは
どうしていいかわからずに
動揺する。

「え、ええ? こ、惟光。何とかせい」

「あの子の名前は若紫です」

「惟光。お前、どうして名前まで」

「さぁ? どうしてでしょうか」

惟光は女の子を見ながら笑みを浮かべる。
 

 
あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、
あまた みえつる こども に にるびょう も あらず、 

オレは
惟光の視線を追って
女の子を眺め見た。

「可愛らしい――」

「でしょ? 源氏様」

惟光は
オレの反応を見てクスリと笑う。

「源氏様は、
 早速あの子にお目をつけられましたな?」

「いや、目をつけたというか」

オレが
困ったように言うと、
惟光は間髪入れずに言葉を返してくる。

「十歳の子に目をつけるなんて
 源氏様はロリコン」

「惟光。お前――」

「まあ、でも――。
 子供というものは可愛いものですな」

惟光は
オレをからかうように
クスリと笑う。

「確かに子供は可愛いです――が、
 源氏様が目をつけられた若紫という子は、
 その中でも飛び抜けて可愛らしいですなあ」

いみじく生ひ先見えて、
いみじく おいさき みえて、 

「あぁ――――」

そうだ。

確かに
あの若紫という子は
すごく可愛い。

オレは
あの若紫をじっと見やった。

すると、
若紫が大人になった時の姿が
オレの目の前に浮かんできた。

「美しいよ――」

若紫――。

オレの
目の前に浮かんだ美しい若紫が
優しく微笑んだ。

「源氏様?」

「ん?」

「源氏様。
 今、若紫様のお名前を心の中で呟かれたでしょう?」

「え! 惟光、お前ナンで知って――」

「ふふ。
 源氏様。私も一応忍びの心得はございますので」

「マジかよ。惟光、エスパーじゃん」

うつくしげなる容貌(かたち)なり。
うつくしげ なる かたち なり。 

「おれにしても――」

オレはため息をつくように言う。

「見れば見るほど可愛いンだよなぁ。あの娘・・・・・・」

オレは
若紫の可愛らしさに
恍惚と見とれてしまう。
 

 
髪は扇を広げたるやうにゆらゆらとして、
かみわ おうぎを ひろげたる ように ゆらゆら と して、 
ぴゅう――

一陣の風が吹いた。

若紫の髪が
扇を広げたように
ゆらりと風に舞う。

オレは
天使が翼を広げたのかと
見間違う。

「ナンてきれいなんだ。若紫――」

オレが
そう言った途端、
若紫の顔は真っ赤になった。

「ヤバい。聞こえたかな――」

オレは
あわてて若紫から頬を背ける。
 
顔はいと赤くすりなして立てり。
かお わ いと あかく すりなして たてり。

「ふふっ――」 

惟光が
オレをからかうような笑みを浮かべて
言葉をつなげる。

「大丈夫ですよ。源氏様」

「え――」

「源氏様。ご安心なされませ」

「いや、ご安心なされませって、惟光。
 オレは安心できないからこうやって――」

「ご心配召されますな。
 源氏様。あちらをご覧あそばせ」

「なに? 惟光。あちらとは」

オレは
惟光の言葉に従うように
アチラに視線を投げる。

若紫は
自分の顔を手で擦(こす)っていた。

「あぁ・・・・・・。
 だから、顔を赤らめていたのか」

オレは胸をなで下ろして安堵する。

「良かった。
 オレのせいで顔を赤くしていたんじゃないんだ」

「果たして――。
 顔が赤くなったのは誰のせいですかな?」

「え――」

「源氏様。若紫様の目元をご覧あそばせ」

オレは
惟光に促されるように
若紫の目元に視線を投げる。

「え? 涙・・・・・・」

オレは思わず息を飲んだ。

若紫の目元が涙に濡れていたからだ。

「涙。そうか――」

若紫は
自分の目に溢れる涙を手でこすったから
顔が真っ赤になっていたのだ。

「一体、誰が若紫を泣かしたんだ」

オレは我がことのように腹を立てた。

すると、
惟光がオレに声をかけてくる。

「源氏様。あれをごらんなさいませ」

「え――?」
 

 
「何事ぞや。童部と腹立ちたまへるか」とて、
「なにごとぞや。 わらわべと はらだち たまえるか」とて、 

オレは
惟光の言葉に従うように
視線を移動させた。

尼君は「どうしたの? 他の子供達と喧嘩でもしたの?」と女の子に言って、

尼君の見上げたるに、
あまぎみ の みあげたるに、 

尼君が女の子の顔を見上げたら、

少しおぼえたるところあれば、
すこし おぼえたる ところ あれば、 

女の子は尼君の面影を宿していたので、

「子なめり。」と見たまふ。
「こなんめり。」 と みたもう。 

「この女の子は尼君の子供なんだな。」と光源氏は女の子をごらんになった。
 

 
「雀(すずめ)の子を犬君(いぬき)が逃がしつる。
「すずめのこ を いぬき が にがしつる。 

「犬君という女の子が雀の子を逃がしてしまった。

伏籠(ふせご)のうちに籠(こ)めたりつるものを」とて、
ふせご の うちに こめたり つるものを」とて、 

伏籠(ふせご)というカゴの中に雀の子を閉じこめておいたのに」と言って、

「いとくちをし。」と思へり。
「いと くちおし」と おもえり。 

女の子は「とても残念だ」と思っているだろう。
 

 
このゐたるおとな、
この いたる おとな、 

この座っていた年配の女房がこんな事を言った、
 

 
「例の、心なしの、かかるわざをしてさいなまるるこそ、
「れいの、こころなしの、かかるわざ を して さいなまるる こそ、 

「いつものように、 うっかり者の犬君という女の子が、こんな失敗をして叱られるなんて、

いと心づきなけれ。
いと こころずき なけれ。 

残念でたまらない。

いづかたへかまかりぬる。
いずかたえ か まかりぬる。 

雀の子は何処へ行ってしまったのか。
 

 
いとをかしう、やうやうなりつるものを。
いと おかしゅう、ようよう なりつる ものを。 

雀の子は日に日に、可愛(かわい)さが増していったのに。

鳥(からす)などもこそ見つくれ。」
からす なども こそ みつくれ。」 

あの可愛い雀の子がカラスなんかに見つかったら大変だ。」

とて、立ちて行く。 
とて、たちて いく。 

そんな事を言って、年配の女房は立ち去って行く。
 

 
髪ゆるるかにいと長く、
かみ ゆるるかに いと ながく、 

この年輩の女房は、とても長い髪をゆるやかにたなびかせた、

めやすき人なめり。
めやすき ひと なめり。 

見苦しくない人なのだろう。
 

 
少納言の乳母(めのと)とぞ人言ふめるは、
しょうなごん の めのと とぞ ひと いう めるわ、 

この年輩の女房は、少納言の乳母と呼ばれている、

この子の後見(うしろみ)なるべし。
この こ の うしろみ なるべし。

この年輩の女房は、この女の子の面倒をみているのだろう。
 

 
尼君、「いで、あな幼や。言ふかひなうものしたまふかな。
あまぎみ、「いで、あなおさなや。 いうかいのう ものしたもう かな。

尼君はこんな事を言った、「まあまあ、とても幼くて。すごく子供っぽいのですね。

おのがかく今日明日におぼゆる命をば、
おのがかく きょうあす に おぼゆる いのち おば、

私はこんな風に、今日とも明日とも知れない命を、

何ともおぼしたらで、雀慕ひたまふほどよ。
なんとも おぼしたらで、すずめ したい たもうほどよ。

何とも思わずに、雀を追いかけ回す事に夢中になるなんて。
 

 
罪得(う)ることぞと、
つみうる ことぞ と、
生き物を捕まえる事は仏の教えに反するので、仏罰を受けてしまいますよと、

常に聞こゆるを、心憂く」とて、
つねに きこゆるお、 こころうく。」とて、

私はいつも言っているのに、情けない。」と嘆いた後で、

「こちや」と言へば、ついゐたり。
「こちや」と いえば、つい いたり。

「こっちに来なさい。」と尼君が言うと、女の子は床に膝をついて座った。
 

 
つらつきいとらうたげにて、
つらつき いとろう たげにて、

女の子は、とても可愛い表情で、

眉(まゆ)のわたりうちけぶり、
まゆ の わたりゅう ちけぶり、

あどけない眉は柔らかで、

いはけなくかいやりたる額(ひたひ)つき、
いわけなく かいやりたる ひたいつき、

髪を無造作にかきあげた額と、、

髪(かん)ざし、いみじううつくし。
かんざし、 いみじゅう うつくし。

幼さを宿した髪がとても可愛い。
 

 
「ねびゆかむさまゆかしき人かな。」と
「ねび ゆかん さま ゆかしき ひと なか。」と

「この女の子が乙女になっていく姿を見てみたい。」と、

目とまりたまふ。
め とまり たもう。

光源氏は女の子に心を奪われた。
 

 
さるは、「限りなう心を尽くしきこゆる人に、
さるわ、「かぎりのう こころ を つくし きこゆる ひとに、

何故ならば、「源氏が心の底から惚れ込んでいる藤壺の宮と、

いとよう似たてまつれるが、まもらるるなりけり。」
いと よう に たてまつれる が、 まもらるる なりけり。」

この女の子がとても似ているので、どうしても面影を重ね合わせてしまう」

と思ふにも涙ぞ落つる。
と おもうにも なみだ ぞ おつる。

光源氏は涙がこぼしながら、女の子を見つめていた。

源氏物語 第五帖 若紫
 

 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 





 
 

開運招福・吉兆来福・運気好転・千客万来。


 
開運招福・吉兆来福・運気好転・千客万来。
皆様に最高の幸運が訪れますように。
@QB
 





 
次のようなシリーズも描いております。

こちらのシリーズも、ぜひとも御一読ください。

プロ詩人になる方法 リニューアルバージョン 作詞集(QB作詞集)編1 ――作詞「夏雨」、作詞「無人駅」、作詞「夏風」――

プロ詩人になる方法 リニューアルバージョン 自由詩集(QB自由詩集)編1 ――自由詩「片思い」、自由詩「心」、自由詩「星空」


      

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